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「透析はしたくない」と思っている方へ|気持ちは変わっても大丈夫です

[2026.09.03]

 

「透析をするくらいなら、死んだ方がいい」

腎臓病の患者さんから、そのように言われることがあります。

それ自体は決して不自然なことではありません。

ですが、その気持ちがいつか変わることも、また自然なことだと思います。

 

腎臓病は症状が出にくく、透析が必要と実感しにくい

腎臓病では、腎機能がかなり低下するまで強い症状が出ないことがあります。

検査の結果から、

「腎臓の働きがかなり悪くなっています」

「そろそろ透析について考えましょう」

と言われても、ご本人には症状がほとんどない。

その状態で「このままでは命に関わります」「透析が必要になります」と言われても、
透析という治療に実感が湧かないのは、普通のことだと思います。

 

実際にその時が来ると、気持ちが変わることがあります

一方で腎臓病がさらに進み、
本当に体調が悪くなったり、命に関わる状態になったりすると、
それまで透析を希望していなかった方が、
「やっぱり透析を受けます」
とおっしゃることがあります。

私はこれまで、そのような患者さんにもたくさんお会いしてきました。

これは決しておかしなことでも、悪いことでもありません。

検査の数字として考えていたときと、
本当に自分の命のこととして考えるときでは、
気持ちが大きく変わるのは当然です。

「どうやら本当に透析をしないと命に関わるようだ」

「本当にこのまま透析をせずにいて、いいのだろうか」

「まだやり残したことがある」

「会っておきたい人がいる」

「もう少し家族と一緒にいたい」

いろいろなことを考えると思います。

 

以前の自分の言葉に縛られなくていい

私は、ここがとても大切だと思っています。

以前、「絶対に透析はしない」

と言っていたとしても、
その言葉に自分自身が縛られる必要はありません。

人の気持ちは変わります。

病気の状態も変わります。

家族の状況も変わります。

人生で大切にしたいものも、変わることがあります。

今は透析をしたくないと思っていてもいい。

そして本当にその時が来たとき、

「やっぱり透析をしてでも、生きたい」

と思ったら、考えを変えていいのです。

私たち透析スタッフは、そのような患者さんをたくさん診てきました。

考えを変えたことを責めることは、決してありません。

 

高齢の方ほど、自分のことだけでは決められないことがあります

高齢の患者さんとお話ししていると、

「この歳でそこまでしてもらわなくてもいい」

「家族に迷惑をかけたくない」

「お金の負担が心配だ」

と話されることがあります。

ご家族を思っての言葉なのだと思います。

ただ、透析をするかどうかは、
その方の命やこれからの人生に関わることです。

自分の人生は、自分のものです。

ご家族への思いやりはとても大切です。

それでも、ご家族に遠慮することだけで、
自分が本当はどうしたいのかを後回しにしてほしくないと私は思っています。

ご家族もまた、
「本人が本当はどうしたいのか」を知らない、わからないこともあるでしょう。

だからこそ、元気なうちから、
ご本人、ご家族、医療者で少しずつ話をしておくことが大切です。

 

透析をしていても、人生は続いていきます

透析室では、若い方も高齢の方も、治療を受けています。

患者さんが透析に来て、スタッフと話をします。

「孫が来たんだよ」

「今度、旅行に行きたいと思って」

そんな話をしながら透析を受け、
治療が終わればまた自宅へ帰っていかれます。

透析を始める前には、
とても大きく特別な治療のように感じるかもしれません。

確かに週3回通院するなど、生活上の負担はあります。

それでも、透析をしている時間の外には、その方自身の生活があります。

透析をしていても、人生は続いていきます。

 

透析をしたくないという気持ちについても、一緒に考えます

「透析をしたくない」

そう思っているのであれば、
その気持ちについても医療者に話していただいてよいと思います。

なぜ透析をしたくないのか。

治療そのものが怖いのか。

痛みが心配なのか。

通院が難しいと思っているのか。

家族への負担が気になっているのか。

それとも、これからの人生について別の思いがあるのか。

同じ「透析をしたくない」という言葉でも、
思いや背景は一人ひとり違います。

まず、その気持ちや理由を知ることが大切だと思っています。

そして、腎臓専門医や透析専門医だけでなく、
長く診てもらっているかかりつけ医がいれば、
その先生にも相談してみるのもよいと思います。

腎臓専門医は、腎臓の状態や透析について専門的な立場から説明することができます。

一方、長年診てもらっているかかりつけ医は、持病だけでなく、
これまでの生活、ご家族との関係、
ときにはその方が何を大切にして生きてきたのかまで知っていることがあります。

病気だけを見るのではなく、
その人の人生を知っている医師の意見が大切なこともあります。

迷ってもいい。

気持ちが変わってもいい。

ご自分の人生と自分にとって大切なものを考えながら、
周りの方と話しながら考えていただきたいと、私は思っています。

 

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