シャントの状態は、なぜエコーで調べるのか ―血液透析におけるエコー検査の役割と優れたところ―
血液透析にはシャントが必要です。
※その理由については別の記事で簡単にご説明しています
このシャント血管は、細くなったり、完全に詰まってしまったりすることがあります。
そのため、シャントの様子や透析の効率などに変化があったときには、シャントの検査を行います。
以前は造影剤というお薬を注射しながらレントゲン撮影をする「シャント造影検査」が主流でしたが、
広瀬クリニックではエコーによる検査がほとんどになっています。
お腹の検査などで行われているエコー検査をご存知の方は多いと思うのですが、
ゼリーを塗って機械を皮膚に触れさせて行う検査で、シャントでも非常に有効です。
<腹部エコー>
ここではエコーによるシャントの管理について、私見を含めてご説明いたします。
【エコーの利点】
造影検査と比較して、エコーでは利点がいくつもあります。
・造影剤を注射しないので、造影剤による副作用の心配がありませんから、
造影剤による副作用のご経験がある患者さんでもエコーなら安心して検査できます
・腎臓のはたらきがある方の場合、造影剤を使うことによって腎臓のはたらきが悪くなることがあります。これを造影剤腎症といいます。
エコーでは造影剤を使いませんから、造影剤腎症が起きることはありません
・造影検査前では、副作用のことを心配してお食事をとらずに来院していただくこともありますが、
エコーではその必要がありません
・造影検査ではレントゲン撮影をしますので、一般的にそれほど多くはないのですが、
被ばくがあります。しかし、エコーでは全く被ばくがありません。
そのため、必要があればくり返し検査することもできます
・エコーでは、血管の深さがわかります。
また、シャント血管の内側の空間だけでなく、血管の壁の様子もわかります。
このような情報は、針を刺すときやPTAを考えるとき、手術前の手術計画を立てる場合などに、大変参考になります。
・たくさんの血管が重なるように流れている場合、
造影検査ではどの血管がどうつながっているか、
あるいは細い部分があるのかどうかわからないことがあります。
エコー検査であれば、一つひとつの血管の様子を見ることができます
・エコーでは、シャントに流れる血液の量や、
RI(Resistance Index, 血管抵抗指数:シャントに狭い部分があって流れにくくなると高くなる数値)などを測定することができます。
造影検査では数値として測定することはできません。
・レントゲン設備が必要ないので、レントゲン室の予約やレントゲン室への移動が必要ありません。
広瀬クリニックでは透析を行うベッドでエコーをしておりますので、
エコーが終わったらすぐに透析を開始することができます
【エコーの欠点】
・肩のあたりから心臓の入口までの血管については、エコーでは見えない部分があります。
そのような場所の検査をしたい場合には、造影検査を行うのが一般的です。
・血管の壁が石灰化(石のように固くなった状態)していると、その部分の様子は見えないことがあります
・人工血管を使ってシャントを作ることがありますが、ある種類の人工血管ではその中の様子をエコーで見ることができないものがあります。
このような場合は、シャントに流れる血液の量やRIを測定することで、血管に狭くなっている場所(狭窄)がないかを考えます。
【エコー検査の実際】
広瀬クリニックでのエコー検査は、広瀬クリニックで透析を受けておられる方の場合、
通常通り来院していただいて、透析前にご自分のベッドで検査をしています。
多くの場合、狭窄が起きやすい血管のつなぎ目や針を刺す場所などを重点的に調べています。
シャントに流れる血液の量やRIを測定して終わりますが、一般的には数分で検査できます。
シャントの検査や治療に来院される方にも、同じようにエコーによる検査を行っています。
広瀬クリニックでは、シャントの手術に来られた方でもエコーを行っています。
手術前に、手術でつなぐ動脈や静脈の様子を観察して治療計画を立てます。
外から見ると血管に問題がないように思えても、エコーで見ると血管の全体あるいは一部分がかなり細くてシャントに使えないことがわかったり、
血管が途切れている(詰まってしまって血液が流れていない)ことがわかったりします。
静脈には逆流防止のための弁があるのですが、その場所や形もわかります。
動脈については、動脈硬化が非常に強いことがわかることがあり、そのような場所を避けることができるのは大きなメリットです。
血管をつなぐ場所がわかったら、手術の時にわかりやすいように、マジックで線を引くようにさせていただいています。
エコーでは造影剤腎症が起きないことから、腎臓の保護にもつながります。
【最後に】
エコーではいろいろなことがわかりますし、造影剤腎症などの副作用を避けられるなどのメリットがあります。
当院では今後も積極的に活用していきたいと考えています。
【参考資料】
2011 年版社団法人日本透析医学会 慢性血液透析用バスキュラーアクセスの作製および修復に関するガイドライン
医療法人陽蘭会 広瀬クリニック
廣瀬 弥幸
