シャントが詰まったとき(シャント閉塞) ――血栓除去とPTAで再開通する治療について――
最終更新:2026年4月(内容を見直しています)
シャントが詰まること(シャント閉塞)は、透析では決して珍しいことではありません。
多くの場合、血栓除去やPTAなどの治療によって再びシャントを使えるようになります。
「シャントが詰まった」と聞くと、どうしても最悪のことを想像してしまうかもしれません。
しかし実際には、早めに対応すれば今のシャントをそのまま使い続けられる可能性は十分あります。
ここでは、シャントが詰まったときの治療の流れと、
私たちが大切にしている考え方を説明します。
シャントが詰まりかけているサイン(症状)
シャントは完全に詰まる前に、いくつかの変化が見られることがあります。
例えば
- シャントの音が弱くなる
- スリル(振動)が弱くなる、なくなる
- 透析中に血流が取りにくいと言われる
- 狭いところより吻合部側で、シャント血管が硬くなる
- 穿刺しにくくなる
- 腕が腫れてくる
- 痛みや赤みが出てくる:すでに血栓ができているときにおきることがあります
このような変化に気づいたときには、
シャントが狭くなっている可能性があります。
この段階で治療ができれば、
詰まる前にPTAで広げることができる場合も多くあります。
シャントが詰まったときの治療
シャント閉塞の原因の多くは血管の狭窄です。
血管が非常に狭くなることで血流が低下し、
その結果、血栓(血の塊)ができてしまいます。
そのため、治療は次の2つの段階で行います。
① 血栓除去
② 閉塞部の開通
シャント閉塞の治療の流れ
① 血栓除去
カテーテルによる血栓吸引
血栓が小さく、血管の状態が吸引に適している場合には、
カテーテル(細いストローのような管)をシャント内に入れて、血栓を吸い取ります。
外科的血栓除去
1-2cmほど皮膚を切開し、血管に小さな切れ目を入れて、
そこから血栓を取り除く方法です。
② 閉塞部の開通(PTA)
血栓を取り除いたあと、
閉塞している部分をバルーンで拡張します。
当院では、このようなPTAを日常的に行っており、
年間約230件のPTA(血管拡張術)を行っています。
これは通常の
PTA(経皮的血管形成術) と同じ方法です。
→ PTAについて詳しくはこちらの記事をご覧ください
再閉塞を防ぐために:当院の治療
当院では再閉塞を防ぐため、いくつかの工夫をしています。
・治療前からヘパリン(血液が固まるのを防ぐ薬剤)の点滴を開始します
血栓は少ない方が治療しやすいため、それ以上血栓ができるのを防ぎます
・血流が再開しても、検査では見えない小さな血栓が残っていることがあり、
翌日までに再び閉塞してしまうことがあります。
その予防のため、原則として一泊入院していただき、ヘパリンの持続点滴を行います
・一泊では短いと判断される場合には入院期間を延ばすこともあります。
・血栓が残っている場合には、
血栓を溶かす飲み薬を併用することもあります(点滴があると退院できないため)
AVFとAVGで対応は少し違う
シャントには
- AVF(自己血管シャント)
- AVG(人工血管シャント)
があります。
対応の緊急性は少し異なります。
AVF(自己血管)
できれば 2日以内の治療 が望ましいです。
AVG(人工血管)
状況によっては 少し余裕を持てる場合 があります。
またAVGでは、
ドライウェイトを調整(増やす)した方がよい場合もあります。
※いずれの場合も患者さんの状態を見ながら判断します。
AVFとAVG、またAVGの治療については、
別の記事でもご紹介しています。
シャント閉塞を防ぐために
シャントについては、手術前の段階から説明を受けていると思います。
シャント手術前の基本についてはこちらの記事でも説明しています。
シャントの流れを妨げることは避けることは、
普段から指導を受けておられると思います。
例えば
- シャント側の腕に重いバッグをかける
- 腕枕をして眠る
といったことです。
ただし、どれだけ注意していても
シャントが詰まるときは詰まってしまうものです。
特に
- 何度もPTAを受けている部分
- 人工血管のつなぎ目
では起こりやすくなります。
誰かが悪いということではないと、私は考えています。
シャントの音や様子を確認してもらう理由
透析を始めるときに、
- シャントの音を聞く
- スリルを触って確認する
ように指導されていると思います。
これは、早めに治療した方が、成功率が高いからです。
詰まる前であれば、
PTAで狭い部分を広げるだけで閉塞を防げることが多く、
成功率も非常に高くなります。
一方、完全に詰まってしまうと
血栓除去が必要になります。
治療は可能ですが、
詰まる前のPTAよりは成功率が下がります。
また時間が経つと、
- 血栓の量が増える
- 血栓が硬くなるなどのため取り除きにくくなる
などで治療が難しくなることがあります。
もし治療しても再開通できない場合には、
次のシャントをどうするかを考える必要があります。
最後に
シャントの音がしない、
急に弱くなったなど、
いつもと様子が違うと感じたときには、早めに透析スタッフへ連絡してください。
なお、ご自宅でシャントの音を確認するのが難しい方もおられます。
その場合には、当院では、
透析来院時のスタッフによる確認だけでも構いません、とお伝えしています。
皆さんの今のシャントが、できるだけ長く使えることを願っています。
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廣瀬 弥幸
