シャントが詰まる前兆|自分で気づくためのチェックポイントを透析専門医が解説
はじめに
血液透析を受けている方にとって、
「シャントが詰まるのではないか」という不安は
とても大きいものだと思います。
シャントが閉塞してしまうと透析ができなくなり、
再手術や入院が必要になることもあります。
また、シャントを作れる場所には限りがあるため、
できるだけ長く使い続けることが大切です。
少し不安を感じる書き方になってしまいましたが、
大切なのは「前兆に気づくこと」です。
ここでは、患者さんご自身で確認できる
「シャントが詰まる前のサイン」についてお話しします。
まずここをチェックしてください
シャントが詰まる前には、
次のような変化が出ることがあります。
- いつもより音が弱い
- 触ったときの振動(スリル)が弱い
- 血管が硬くなっている
- 透析後に血が止まりにくい
- シャントのある側の腕がむくむ
これらはすべて「いつもと違う」という感覚が大切です。
なぜシャントは詰まるのか
シャント閉塞の多くは、
血管の一部が狭くなる(狭窄)ことで起こります。
血流が徐々に悪くなり、
最終的に血液が固まって(血栓)、詰まってしまいます。
そのほかにも
- 外からの圧迫
- 血圧の低下
などが影響することがあります
ご自身でできる予防
◆ シャントを圧迫しない
シャントのある側の腕に、
・重いバッグをかける
・腕枕をして寝る
などで血流が止まると、
血栓ができやすくなります。
◆ 血圧を把握する
血圧が大きく下がると、シャントの血流も弱くなります。
透析後やご自宅での血圧を把握しておくことは大切です。
狭くなってきたときのサイン
狭窄のイメージとしては、次の図のような状態です
狭窄があると、手前で圧が高くなり、先では血流が弱くなります(図)
シャントが狭くなってくると、
次のような変化が出てきます。
- スリルの感じ方が変わる
- 音が変わる
(小さくなる、あるいは「ヒュー」「シャー」といった高い音になる) - 狭窄があると、その手前では圧が高くなり拍動が強くなり、
その先では血流が弱くなる - 血管が硬くなる
- 透析後の止血に時間がかかる
- シャント側の腕や肩、胸などに、
細い血管が目立つようになることがある
さらに狭窄が進むと、触ったときの感じも変わってきます
強い狭窄では、手前で拍動が強くなり、狭窄部でスリルが出現し、先では拍動や血流が弱くなります
こうした変化は、閉塞の前段階の可能性があります。
すぐ相談してほしいサイン
- 明らかに音や振動が弱くなった
- シャント血管のある部分に痛みや赤みが出て、
血管がコリコリと固くなる - 急にむくみが出てきた
- いつもと違うと感じる変化がある
「様子をみる」よりも、
まずは一度、お電話などでご相談いただく方が安全です。
診療時間外や夜間の場合は、
かかりつけの透析医療機関のルールに従ってご連絡ください。
なお、当院ではシャント閉塞に対して、
夜間に緊急で手術を行うことは基本的にはありませんので、
症状が落ち着いている場合には、翌朝のご連絡でも対応可能としています。
ただし、強い痛みや急激な変化がある場合は、
早めのご相談をおすすめします。
※心配になった方へ
・狭窄の治療はこちら
・閉塞してしまった時の治療はこちら
最後に
シャントは個人差が大きく、
前兆が分かりにくい場合もあります。
また、検査で問題がなくても急に詰まることもあります。
ただし、多くの場合は何らかの変化があります。
多くの場合、早めに気づけば対応できることが多いので、
あまり心配しすぎなくて大丈夫です。
「気にしすぎず、でも少し気にかける」
そのくらいの距離感で、
日常の中で観察していただければと思います。
何か気になることがあれば、遠慮なくご相談ください。
※詳しく知りたい方へ
シャントが狭くなった場合の様子は、
今月中にブログに掲載予定です
【参考記事】
シャントが狭くなったと言われたら?:PTA(血管を広げる治療)について
シャントが詰まったとき(シャント閉塞) ――血栓除去とPTAで再開通する治療について――
今のシャントが使えなくなったらどうする? ――透析患者さんの次の選択肢をシャント医が解説――
【私がこの治療で大切にしている考え】
私がこの治療で大切にしている考えについては、
こちらの記事でも、少し詳しくお伝えしています。
【よく読まれています】
腎臓病と透析についてまとめたページはこちら
【診療案内】
以下のような方は、一度ご相談ください。
・シャントが狭いと言われた方
・PTAを繰り返している方
・シャント閉塞や血流低下を指摘された方
・痛みや治療方法について相談したい方
・主治医の先生からシャント治療を勧められた方
・他院でシャント治療について相談したい方
※他院通院中の方は、まず主治医の先生とご相談ください
まずはご相談だけでも構いません。→ 広瀬クリニックの診療案内
初めて受診を検討されている方はこちらをご覧ください
→ 初めての方へ
医療法人陽蘭会 広瀬クリニック
廣瀬 弥幸
