シャント側の腕が腫れてきたら|中枢静脈狭窄の症状と治療をシャント医が解説
シャント側の腕が腫れてきた場合、
中枢静脈(心臓の近くの太い静脈)が狭くなっている可能性があります。
中枢静脈狭窄は、エコーだけでは見つけにくく、診断が難しいこともあります。
今回はその症状や治療についてお話しします。
透析を受けている方の中には、
「最近、シャントのある腕が腫れてきた」
「手や前腕がむくむ」
「透析後もしばらく腫れが引かない」
という症状が出ることがあります。
こうした場合、
シャントそのものの狭窄だけでなく、
中枢静脈狭窄(ちゅうすうじょうみゃくきょうさく)
という状態が隠れていることがあります。
中枢静脈狭窄とは?
腕から心臓へ血液を戻す静脈のうち、
鎖骨の下や胸の中を通って心臓に至る太い静脈が、
狭くなった状態です。
透析シャントでは通常より多くの血液が流れるため、
この部分が狭くなると血液が腕から心臓に戻りにくくなり、
結果として腕や手が腫れてしまうことがあります。
どんな症状がありますか?
代表的な症状は
- シャント側の腕が腫れ、明らかに反対側の腕より太くなる
- シャント血管が肩のあたりまで太くなる
- シャント血管の拍動が全体的に強い
- 肩のあたりにスリルを触れることがある
- 肩や首、胸のあたりの皮膚の表面に、とても細い血管がたくさん見えるようになる
- シャント音が連続的ではなく、途切れ途切れになる
- 透析中に毎回「静脈圧が高い」と言われる
- 透析後の止血に時間がかかるようになる
などです。
ただし、
初期にはほとんど症状がないこともあります。
エコーでは分からないことが多いです
シャントの診察では超音波検査(エコー)が非常に役立ちます。
しかし、
シャントエコーでは、
中枢静脈そのものを評価できないことが多いため、
エコーで異常が見つからないからといって、
中枢静脈狭窄が否定できるわけではありません。
そのため、症状や透析時の状況から疑われる場合には造影検査が必要です。
また、造影検査でも、
中枢静脈まで検査しなければ気づかないこともあります。
放置しても大丈夫?
症状が軽い場合でも、
狭窄が進行すると
- 腕の腫れの悪化
- 透析の効率が悪くなる
- シャント閉塞
につながることがあります。
特に、シャントが閉塞してしまうと、
こちら側の腕ではシャントが作れなくなることもあるので、
閉塞させないようにすることが大切です。
気になる症状がある場合は、
早めの相談をおすすめします。
シャントが完全に詰まってしまった場合については、
こちらの記事で詳しく解説しています。
→ シャントが詰まったとき(シャント閉塞)――血栓除去とPTAで再開通する治療について――
治療はありますか?
多くの場合はPTAで治療を行います。
腕の血管の狭窄に比べると治療が難しい場合もありますが、
血流を改善できることが少なくありません。
狭くなった部分を風船で広げることで、
血液の流れが改善し、
腕の腫れが減って日常生活が楽になる方もおられます。
PTAについては、以下の記事をご参照ください。
→シャントが狭くなったと言われたら?:PTA(血管を広げる治療)について
当院で行っていること
当院では、まず診察において、
冒頭に書いたような腕の腫れ、
シャントの太さや拍動などで中枢静脈の狭窄を疑います。
シャントエコーでは中枢静脈そのものを評価できないことが多いのですが、
エコーで見える範囲に狭窄がないのに
・腕が腫れている
・血流が悪い
などの場合に、中枢静脈の狭窄を考えます。
診断するためには、必要に応じて造影検査を行います。
治療はPTAですが、
当院では年間約220件のシャントPTAを行っている中で、
腕の腫れや症状の改善、
シャントを長く使えるようにすることを目的として、
中枢静脈のPTAも行っています。
腕の腫れやシャントトラブルでお困りの方は、
主治医の先生にご相談の上、
お気軽にご相談ください。
【診療案内】
以下のような方は、一度ご相談ください。
・シャント側の腕が腫れている方
・透析後の止血に時間がかかるようになった方
・シャントの拍動や音が以前と変わった方
・透析中に毎回「静脈圧が高い」と言われている方
・中枢静脈狭窄を指摘された方
・シャントPTAや治療方法について相談したい方
当院では、シャントエコー、造影検査、PTAなどを組み合わせながら診療を行っています。
※他院通院中の方は、まず主治医の先生とご相談ください。
まずはご相談だけでも構いません。
初めて受診を検討されている方はこちらをご覧ください
→ 初めての方へ
※医療機関からのご紹介もお受けしています。
→ シャントの治療(PTA・手術・痛み対策について) | 広瀬クリニック
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医療法人陽蘭会 広瀬クリニック
廣瀬 弥幸
