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人工血管(AVG)はいつ選ぶ?高齢者のシャント選択|人生の視点から

[2026.07.23]

 

透析のシャントは、
できるだけ自分の血管(自己血管:AVF)で作ることが望ましいとされています。

しかし、高齢の患者さんでは事情が少し異なることがあります。

実際には、

・入院期間を短くしたい
・体力の低下を避けたい
・カテーテルの期間を短くしたい

といった理由から、
あえて人工血管(AVG)を選択することがあります。

ここでは、自己血管(AVF)と人工血管(AVG)の違いと、
高齢の患者さんでAVGを選択する場合について、
私の考え方をご紹介します。

 

AVF(自己血管)が第一選択です

シャントを作る際には、まず自己血管(AVF)を検討します。

AVFには、

・長く使えることが多い
・感染などの合併症が少ない
・透析の針を刺す場所が多い
・将来作り直す場所を残しやすい

といった利点があります。

そのため、日本ではAVFが標準的な方法であり、
多くの患者さんがAVFで透析を受けています。

当院でも、基本的にはAVFを第一選択としています。

AVFを作ると、通常は10日~2週間ほどかけて血液の流れが増え、
血管が少しずつ太くなります。

そのため、
手術から2週間ほど経過してから透析に使用することが一般的です。

(患者さんによっては、さらに時間がかかることもあります)

一方でAVGが選択されるのは、

・血管が細いためAVFが作れない
・何度も手術をしてAVFを作る場所が少ない
・高齢で、早期に透析を開始した方が生活機能を維持しやすいと判断される

といった場合です。

 

高齢者ではAVFが十分に育たないことがあります。

高齢の患者さんでは、

・血管が細い
・動脈硬化が進んでいる

といった理由のためです。

また、これは実際に手術をしてみないと分からないことですが、
AVFを作ったものの十分発達しないことがあり、
数か月後に再手術が必要になることもあります。

AVFが使えるようになるまで時間がかかると、

・入院が長引く
・カテーテルで透析を開始することになる
・感染症のリスクが高くなる
・活動量が減って体力が低下する

といった問題が起こることがあります。

高齢の患者さんでは、透析そのものよりも、
入院や体力低下によって生活機能が落ちてしまうことの方が、

大きな問題になることもあります。

自宅で生活できていた方が、
退院後に以前の生活へ戻れなくなることもあるため注意が必要です。

そのため、本来であれば、
透析が必要になる少し前の時期からAVFを作成し、
十分に発達した状態で透析開始を迎えることが理想です。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。
シャントはいつ作る?|専門医が教える「時期の目安」と「個別の事情」

 

人工血管(AVG)という選択肢

このような背景から、
高齢の患者さんなどで、

・まだAVFを作っていない
・AVFの発達に時間がかかりそう
・長期入院やカテーテル使用を避けたい

と考えられる場合には、人工血管(AVG)を選択することがあります。

人工血管には複数の種類がありますが、

・手術後24時間程度で透析に使用できる
・止血しやすい

といった特徴を持つ人工血管もあります。

そのため、

・カテーテル期間を短縮できる
・入院期間を短縮できる

場合があります。

以前は、人工血管は感染しやすいと考えられてきました。
一方で、近年では管理方法の向上などにより、
昔ほど大きな差ではないという報告もみられるようになっています。

人工血管では自己血管に比べて狭窄やPTAが必要になることがありますが、
定期的に診察やエコー検査を行い、
必要に応じて治療を行うことで長く使用できる方も多くおられます。

 

高齢者では初回からAVGを選択する考え方もあります

高齢の患者さんでは、

「血管を長く使うこと」

だけでなく、

「体力を落とさないこと」

も非常に重要です。

AVFで入院が長引いたり、
再手術が必要になったりして、
体力や生活機能が低下してしまっては本末転倒です。

また、
一人暮らしの方や、
ご家族が日中不在で支援を受けにくい方では、
止血しやすい人工血管が安心につながることもあります。

(参考:人工血管(AVG)の種類と選び方|ePTFEと早期穿刺型の違いをシャント医が解説)

そのため、
患者さんの年齢、体力、血管の状態、生活環境などを考慮したうえで、
最初からAVGを選択することが適切な場合もあると考えています。

 

実際の患者さんの例

ある高齢の患者さんの事例です。

軽度の認知症がありましたが、ご自宅で一人暮らしを続けておられました。

ご家族が近くに住んでおられ、日頃から熱心に支援されていました。

血液透析をすることになったのですが、
血管が細く、AVFが発達するまでに時間がかかると予想されました。
そうなると、長期間の入院によって体力が落ちたり、
認知症が進んだりすることが心配されました。

そこで、自己血管(AVF)ではなく人工血管(AVG)を選択しました。

人工血管は止血性のよいものを使って、
人工血管の手術は2泊3日で行い、一度ご自宅へ退院されました。

その後、それほど間を空けずに、1泊2日の入院で血液透析を開始しました。

結果として、長期間の入院を避けながら透析導入を行うことができました。

もちろん、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。

しかし、高齢の患者さんでは、
「シャントを長く使うこと」だけでなく、
「生活を維持すること」
も大切な治療目標になると私は考えています。

 

当院での考え方

当院では、基本的にはAVFを優先しています。

しかし、

・血管の状態
・健康状態や体力
・入院期間
・生活環境
・ご家族のサポート状況

などを総合的に考え、
初回からAVGを選択することもあります。

また当院では、患者さんの状態に応じて、
県内でも導入施設が限られている早期穿刺型人工血管も使用しています。

手術後早期から透析に使用できるという特徴があり、
できるだけカテーテル使用期間や入院期間を短くし、
体力を落とさず透析を開始できるよう努めています。

透析が始まっても人生は続きます。

だからこそ、
シャントや血管だけではなく、
その方らしい生活を続けられるかどうかも大切にしたいと考えています。

 

最後に

一般的には自己血管(AVF)が第一選択です。

しかし、人工血管(AVG)にも利点があります。

特に高齢の患者さんでは、

・長く使えるか
・体力を維持できるか
・無理なく生活を続けられるか

という視点も大切です。

患者さんごとに最適な方法は異なります。

ご自身に合った治療法について、
医療者と一緒に考えていくことが大切だと思います。

 

【診療案内】

以下のような方は一度ご相談ください。

・透析導入が近いと言われた方
・シャントを作る時期について相談したい方
・高齢でシャント治療に不安がある方
・人工血管について詳しく知りたい方
・他院でシャント手術を勧められた方

※他院通院中の方は、まず主治医の先生とご相談ください。

まずはご相談だけでも構いません。

→ 広瀬クリニックの診療案内

初めて受診を検討されている方はこちらをご覧ください
→ 初めての方へ

 

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