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創立29周年に寄せて

[2025.11.18]

広瀬クリニックは、おかげさまで29周年を迎えました。


患者さんやご家族、当院の職員、連携医療機関や介護関係の皆様、関係各社、そして地域の皆様など、多くの方々の支えによって今日があります。心より感謝申し上げます。

 

昨年、主要先進国の選挙では与党が軒並み敗北したと言われており、世界全体で価値観の転換が進んでいると感じています。さらに紛争が相次ぎ、AIやICTが急速に発展し、世界は明らかに新しい局面を迎えています。日本でも政策の方向性が大きく変わろうとしており、人口減少と高齢化が進む中、社会保障や医療保険のあり方が広く議論されています。

明治以前の日本には病院はほとんど存在しませんでしたが、明治維新以降、漢方中心だった医療は西洋化され、「助けられなかった命を救う場所」として病院が求められるようになりました。しかし、当時の国や自治体には財政的余裕がなく、医師(開業医)が自ら資金を調達し、病院や診療所をつくっていきました。農村部では医療が行き届かず「農村運動」が起きた時期もありましたが、開業医が地域に根ざして開業することで医療が全国の津々浦々に広がり、地域医療の基盤が築かれてきました。

それから100年以上が経過した現在、過疎地域を中心に病院や診療所は減少しています。県庁所在地である長崎市でも、開業医の約6割が70歳以上とされ、今後10年以内に診療所数が半減する可能性が指摘されています。人口が増える、あるいは維持される大都市圏とは異なり、それ以外の地域では医療機関の存続が徐々に難しくなっていくことでしょう。将来、再び“農村運動”のような動きが起こるかもしれませんが、医師の立場から見れば、人口が減り続ける地域で20〜30年先を見据えて新たに開業することは、容易ではありません。

誰しも病気にはなりたくありませんが、長い人生ではさまざまなことが起きます。病によって人生に大きな影響を受ける方々と日々向き合う中で、誰もが安心して暮らし続けるための重要な社会インフラである医療の将来に、大きな危惧を感じています。

一方、地方の視点で考えると、医療(および介護)は雇用の場であるという側面も気になるところです。2040年には長崎県の就業者の24%もの人々が医療介護領域で働いていると推計されています。医療介護の衰退は、就職先の減少につながり、それは地域の縮小をより強める恐れがあります。

2040年やその先を見据え、厳しい財政事情や労働人口の減少などを踏まえながら、医療のあり方を国民全体で議論していく必要があります。病院と診療所を対立構造で捉えるのではなく、地域の実情に合わせて医療をどのように維持し、地域全体をどう構築していくかが、重要かつ喫緊の課題です。

 

今後も皆様のお力添えをいただきながら、よりよい医療を提供し、患者さんも職員もイキイキと過ごせる広瀬クリニックでありたいと願っています。そして、地域の発展にも貢献してまいりたいと考えております。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

医療法人陽蘭会 広瀬クリニック

廣瀬 弥幸

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