腎臓の病気が進んだときに、自分を責めないで
腎臓の病気には、さまざまな種類があります。
その中で、長い時間をかけて少しずつ腎臓の働きが低下してきた方、
ある程度以上まで腎機能が悪くなってきた方では、
残念ながら腎臓の働きが元に戻ることは難しいと判断されるケースが多くあります。
eGFR が 30 を下回っている方の場合、
治療によって進行をゆるやかにすることは期待できますが、
腎機能そのものが大きく改善することは、
一般的には多くありません
(これは患者さんの状況によって異なりますので、かかりつけの先生や腎臓専門医にご相談ください)
腎臓の病気は自覚症状がほとんどないため、
初期では治療のモチベーションを保つことが難しい病気です。
しかしeGFR が 30 を切ってくると、
「透析」という言葉が現実味を帯びてきて、
治療をより一生懸命がんばろうとされる方が多くなってきます。
食事制限を守り、
薬をきちんと飲み、
血圧や体重を毎日測りながら、
「何とか透析を先延ばしにしたい」と努力されている姿は、
診療の中でよく伝わってきます。
それでも、長い目で見ると、
eGFR は少しずつ下がっていくことが多いのが現実です。
腎臓に病気のない方でも、腎機能は年に約 1%ずつ低下すると言われています。
腎臓病がある方では、その低下のスピードが、より速くなります。
治療を一生懸命がんばっているのに数字が下がると、
患者さんはとても落ち込まれます。
がんばっている方ほど、つらさも大きくなりがちです。
私が、こうした方々に一番お伝えしたいのは、
これは患者さんのせいではない、ということです。
一度傷んでしまった腎臓は悪くなりやすく、
腎機能を回復させる特効薬は、今のところありません。
長い時間をかけて病気と向き合ってこられた方が、
さらに自分を責める必要はないと、私は思っています。
しかし、診察室で数字を前にして落ち込んでおられる患者さんに、
この思いがその場で届くことは、正直なところ多くありません。
それは自然なことであり、やむを得ないことでもあります。
だからこそ、このようにブログという形で書いています。
この段階まで腎臓の病気が進んでおられる方は、
腎臓ご専門の医師や看護師、管理栄養士とともに、
治療に取り組んでおられることと思います。
それに加えて、これまでのあなたの人生や背景を知っている
かかりつけの先生に相談してみるというのも、
一つの方法かもしれません。
数字だけでは整理しきれない気持ちを、
受け止めてもらえることもあります。
腎機能がさらに低下すると、
血液透析、腹膜透析、腎移植といった次の治療の準備が必要になります。
誰にとっても望ましいことではありませんが、
適切なタイミングで治療に入ることで、
救急搬送や長期入院、体力の大きな低下を避けられることもあります。
透析が始まっても、
人生が終わるわけではありません。
透析になっても、制限の中で人生を楽しんでおられる方は、
たくさんいらっしゃいます。
どうか、腎臓の数値が悪くなっても、自分を責めないでください。
そして少しずつで構いませんので、
その先の治療について知り、相談しながら、
ご自身に合った選択を考えていただければと思います。
私は、そのお手伝いができればと思っています。
医療法人陽蘭会 広瀬クリニック
廣瀬 弥幸
