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血液透析の「ドライウェイト」とは? ―― 医学的な正しさと生活のはざまで ――

[2026.02.26]

血液透析では、「ドライウェイト」という考え方があります。

これは体の余分な水分が除去され、体液バランスが整ったときの目標体重のことです。

 

ガイドラインでは、ドライウェイトは

① 血圧が安定していること

② むくみや心不全症状がないこと

③ 心臓への負担が過剰でないこと

などを目安に判断されます。

 

これらはとても大切で、血液透析の基本となる考え方です。

当院でも、この医学的基準を原則として大切にしています。

その上で、その方の体調や生活とのバランスを見ながら、丁寧に調整しています。

ただ、診療の現場では、これだけでは説明できないつらさを感じる方もいます。

 

数字は合っているのに、体がつらいことがあります

たとえば、

・除水は計画どおりできている

・数値上は「適正」と判断される

それでも、

・透析後、体がきつくて動けない

・ひどいときには、その日に帰宅できない

・家に帰っても何もできず、横になるしかない

という方がおられます。

数字は正しくても、その人の一日が回らないことがあるのです。

 

ドライウェイトに対する感じ方は、人それぞれです

患者さんによって、感じ方や価値観はさまざまです。

・体重は少し低めのほうが安心する方

・むくみが少し残っていても、そのほうが体が楽な方

・血圧が高めでも「これくらいが自分にはちょうどいい」と感じる方

医療的には「下げたほうがいい」と考えられる場面でも、

ご本人の体調や生活の感覚と合わないことがあります。

体調は日によって違いますし、

年齢、体力、生活のしかたによっても感じ方は変わります。

 

どちらが正しい・間違っている、という話ではなく、

正解は一つではないと考えています

 

「医学的なドライウェイト」は最初にお示ししたような内容で決まります

一方で、

「生活や人生から見たドライウェイト」というものもあると考えており、

双方が合わないこともあるのです。

そのため、

医学的観点だけからドライウェイトを決めることが、

必ずしもその人にとって最善とは限らないと、私は感じています。

 

広瀬クリニックで大切にしていること

広瀬クリニックでは、医学的なドライウェイトを基本にしながらも、

・数字だけで決めない

・患者さんのご意見も聞く

・透析後に帰宅して、生活できるかも大切にする

ということを意識しています。

血圧や検査データを見ながら、

患者さんご本人の感覚や希望も聞き、

話し合いながら調整していきます。

 

医学的な必要性もあります

とはいえ、医学的に見てどうしても許容できない場合もあり、

こちらからお伝えすることがあります。

たとえば、

「胸に明らかに水が溜まっているので、今はドライウェイトを下げたほうがいいですよ」

「この血圧の下がり方は、ドライウェイトが低すぎると思います」

「後半に血圧が上がっていくのは、ドライウェイトを下げた方がいい場合も多いです」

といったように、

医学的な必要性から判断せざるを得ない場面もあります。

こうした判断は、決して一方的に決めたいからではなく、

安全に透析を続けていただくために必要なものです。

その安全の範囲内で、ドライウェイトをご相談していきたいということです。

この点は、ご理解いただければと思います。

 

最後に

ドライウェイトは、血液透析においてとても大切な医学的基準です。

当院でも、この原則を大切にしています。

その上で、医療は、ただ基準を順守するだけでなく、

その人の生活や人生が続いていくことを支えるためにあると、私は考えています。

安全を守るという前提のもとで、

透析を続けながら生活していくために、

「その人にとって無理のない形」を一緒に探していけたらと思っています。

医療機関や患者さんの状況によって、考え方は異なりますが、

私自身はこのように考えています。

気になることや違和感があれば、

遠慮なく伝えてください。

医療法人陽蘭会 広瀬クリニック

廣瀬 弥幸

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