血液透析を始めるときの流れ|入院・通院・不安について透析医の視点でお話しします
透析の話が出ると、
「もうすぐ始まるのかな」
「入院するのかな」
「痛いのかな」
と、いろいろな不安が頭に浮かぶ方が多いと思います。
まだ透析のことを考えたくない方にとっては、
読みづらい部分があるかもしれませんが、
ここでは、血液透析を初めて導入するとき(透析開始時)の流れについて、
私が普段、診療の現場で見ていることを、できるだけ正直に書いてみます。
シャントを作ったあとも、必ずしもすぐに血液透析を始めることになるわけではありません
タイミングについては以前のブログ(シャントを作ったあと、すぐ透析になる? 血液透析を始めるタイミングを医師が解説 | 広瀬クリニック)で
ご紹介しましたが、通院を続けながら、血液検査(eGFRなど)や体調を見ていき、
「もう少し様子を見られるか」
「そろそろ準備を進めたほうがいいか」
を一緒に考えていきます。
この時期は、
「いずれは透析になるかもしれない」
と分かってはいても、気持ちが揺れる方が多いと感じています。
「そろそろ透析を始めましょう」と言われるのはどんなとき?
腎臓の数字が少しずつ悪くなり、
息切れやむくみ、食欲低下などが出てくると、
そろそろ血液透析の開始を具体的に検討する時期になります。
正直に言って、ほとんどの方が「嫌だ」と感じておられると思います。
それは、とても自然なことで、私自身も患者さんがそう感じるのは当たり前だと思っています。
透析が近くなってくると、食事制限などをとてもがんばっておられる方も多く、自分を責める方もおられます。
しかし、腎臓のはたらきが悪いほど腎臓は悪くなりやすく、患者さんの責任ということではないと私は思っています。
血液透析は入院して始める?実際の流れ
患者さんの状況や医療機関によってさまざまだと思うのですが、
広瀬クリニックでは基本的に入院で透析を初めています。
スケジュールとしては、1日おきに行うことが多いですが、最初だけ2連日で行ったりと、その時の状態によって少し違いがあります。
以前は4泊5日の入院期間でしたが、最近は1泊2日の入院で様子を見ることが多いです。
透析時間は、初回は 2〜3時間程度から始めます。最初は、
・針が入りにくい、針が入らなくて刺しなおす
・少し痛みを感じる
・皮下出血が起きて、色がつく
といったことが起こることもあります。
血液透析を開始するときに起きる合併症である「不均衡症候群」というものがあります。
これは透析の数時間後に頭痛や吐き気が出るものです。
これを聞いて不安になる方もいるかもしれませんが、実際には配慮して開始するので、起きることはとても少ないです。
翌日は、シャントの出血がきちんと止まっていることを確認してから、安心して帰宅していただきます。
退院後、通院透析が始まります
退院後は、月・水・金、または火・木・土のスケジュールで通院します。
最初は1回 3時間程度 の透析から始め、2〜4週間かけて、
少しずつ 4時間 にすることがほとんどです。
透析時間については、その後調節することもあります
体が慣れるスピードには個人差があります。
無理をせず、その人のペースを大切にしています。
だんだん、生活の一部になっていく
血液透析は、誰にとっても大きな出来事です。
でも、数か月たつと、
・通院が生活のリズムになる
・顔見知りができる
・スタッフと自然に会話が増える
・お仕事をされている方では、再開する
そんな変化が出てくる方が多いと感じています。
もちろん、すべての方が前向きに感じられるわけではありません。
それでも、透析は人生のすべてではありません。
透析を続けながら、それ以外の人生を楽しんでいる方も、たくさんおられます。
実際に、長崎への旅行や帰省のために、広瀬クリニックに臨時の透析を受けながら過ごされている方もおられます。
シャント手術での入院期間
なお、シャント手術そのものの入院期間については、
「なぜ人によって違うのか」という視点で、
別の記事にまとめています。
最後に
透析を受けたいという方は、いないのではないか、と思います。それを無理に「大丈夫ですよ」と言うつもりはありません。
ただ、「どう始まって、どう慣れていくことが多いのか」を知ることで、少しだけ不安が軽くなる方がいればいいな、と思って書きました。
気になること、心配なことがあれば、診察のときに遠慮なく聞いてください。
医療法人陽蘭会 広瀬クリニック
廣瀬 弥幸
