透析と言われたらどうすればいい? ――準備と考え方を腎臓内科医が説明 ――
「透析になったら人生終わりですよね」
そうおっしゃる患者さんは、実は少なくありません。
透析のイメージは、とても悪いようです。
しかし、他の記事でもお伝えしているように、
血液透析などの透析治療が必要になっても人生は続きます。
▶透析と人生については別の記事でもご紹介しています。
ここでは、慢性腎臓病(CKD)などで
腎臓の働き(腎機能)が徐々に悪くなり、
「透析の準備をしましょう」と言われたとき、
また透析療法の中でも血液透析を行う場合に、
どのように考えればよいのかについてお話しします。
透析と言われた瞬間
「いずれ透析になる可能性があります」
「もし透析が必要になったら、血液透析と腹膜透析のどちらが合うでしょうか」
このようなお話を以前からしていても、
実際に
「そろそろ透析の準備をしましょう」
と言われると、どなたでも大きな衝撃を受けられます。
「透析と言われた日のことは、あまり覚えていないです」
「頭が真っ白になりました」
そう言われることもよくあります。
それは当然のことだと思います。
透析の準備に具体的に直面する瞬間、
ここで初めて本気で透析について考え始める。
ある意味で、本当のスタートになることも多いのです。
時間はある場合が多い
ここでは、腎臓の働きが徐々に悪くなっている場合を想定してお話しています。
その場合、腎臓内科医は計画的に相談を行い、
透析導入が安全に始められるタイミングを見ています。
透析と言われたその場で、
すべてを決めてしまわなくても大丈夫なことがほとんどです。
即答できない方の方が多いです。
そして、考える時間はあります。
まずは深呼吸をして、医師と次の診察日を決めましょう。
そこまでに、考えたり備えたり相談したりする時間があるのです。
透析についての資料を渡されることもあると思います。
持ち帰って、ゆっくり読んでみてください。
透析について考える
透析について考えるときには、いくつかの方法があります。
・もらった資料を読む
・インターネットで検索する
・家族と相談する
・知り合いに透析を受けている方がいれば相談する
インターネットにはさまざまな情報があります。
透析について悲観的な内容もあれば、
透析を受けながら普通の生活を続けている方の話もあります。
しかし実際には、
透析を始めた後の生活や仕事、人生のイメージができない
という方がとても多いのが現実です。
これは大きな問題だと感じていますので、
このホームページでも今後少しずつ説明していきたいと考えています。
一つの情報だけで判断せず、
医師と相談しながら、自分にとって納得できる形を探していくことが大切です。
医師には言いにくいかもしれませんが、
セカンドオピニオンを希望され、他に医師の意見を聞く方もおられます。
また、家族の考えも大きな要素になります。
腎臓病や透析という言葉に、患者さんご自身は強い不安を感じています。
ご家族の方が冷静に考えられる場合もありますし、
サポートしてくださると聞くと、患者さんは気持ちが楽になります。
透析を始めた後の生活について、
家族と相談することも大切です。
なお、
透析の準備をしても、必ずしもすぐに透析が始まるとは限りません。
透析の準備とは何をするのか
血液透析の場合、
事前にシャント手術をしておく必要があります。
また、透析治療では
週3回の通院
が必要になります。
そのため
・通院する透析施設
・通院方法
・体力や生活環境
などを考えて準備を進める必要があります。
一般的な透析のスケジュールは
・月水金 または 火木土
・朝 / 午後 / 夜
という形になります。
お仕事をされている方は、
職場への相談も必要になるかもしれません。
私が接してきた患者さんの中でも、
仕事を続けられるよう、
職場が柔軟に対応してくださるケースは少なくありません。
生活のことも重要です。
・お風呂には入れるのか
・食事はどうしたらいいのか
など、どなたも心配される点です。
▶食事療法については別の記事でも説明しています。
透析の準備をと言われた患者さんが次の受診日にどうしているか
実際の患者さんの反応には、いくつかのパターンがあります。
①準備を進める
「わかりました」と、透析の準備を進める方が多いように思います。
ただし、この時点で本当のお気持ちをすべて話される方は多くありません。
「いやだけれど、まず準備だけしておこう」
そう考えておられる方も少なくないと思います。
それは当然のことだと思います。
この場合は、シャント手術や入院の予定を決め、
その説明が行われます。
②少し待ちたい
「2か月後に予定があるので、そのあとにしてほしい」
「来年まで待ってほしい」
そうおっしゃる方もおられます。
ご本人にとって大切な予定もありますので、
医学的な時間的余裕と合わせて相談していくことになります。
③透析はしたくない
「透析はしたくない」とおっしゃる方もおられます。
症状がほとんどない段階の方も多く、
そのお気持ちはよく理解できます。
医療としては準備をおすすめしますが、
このような場合は次の診察日を決め、
腎臓の数値や症状を見ながら
相談を続けていくことになります。
医師として考えているのは、
緊急事態を起こさず透析治療を始められること
そして
透析になってもできるだけ元気に過ごしていただくこと
です。
透析を受けながら
・仕事をしている方
・旅行をしている方
・人生を楽しんでいる方
を、私はたくさん見てきました。
また、数か月〜1年ほどで透析に慣れ、
「いやだけれど、受け入れている」
という方が多いこともお伝えしたいと思います。
私は、透析がいやだという気持ち、
多くの心配があることは当然だと思っています。
医師には言いにくいことかもしれませんが、
自分の心配や気持ちを伝えることは大切だと考えています。
終わりに
透析という治療(血液透析)を受けることになっても、
人生そのものが終わるわけではありません。
透析を受けながら仕事を続けている方もおられます。
友人に会い、
家族との生活を続けている方もおられます。
それでも人生は続きます。
人生をあきらめることはないのです。
【参考記事】
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