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透析をするかどうか迷ったときに|専門医と一緒に考える「これからの人生」(SDM)

[2026.05.25]

 

透析をするかどうかという問題は、
単に治療を受けるかどうかではなく、

これからの人生をどう過ごしていくか

という、とても大きな意味を持っています。

eGFRが30を下回り、20を切る頃になると、
透析という言葉が現実のものとして感じられるようになります。

(eGFR30・20の段階については、別の記事でも詳しく解説しています)

ただ、そのときに多くの方が感じるのは、

・透析はしたくない
・まだ大丈夫なのではないか
・考えたくない

といった思いです。

しかしこれは、とても自然なことです。

「どのように生きていきたいか」という問い

透析をするかどうかという問題の本質は、

「どのように生きていきたいか」

という問いにあります。

しかし実際には、時間の限られた診察室では、
なかなか十分にできないことが多いのが実情です。

医療は、診断や治療が主な役割であり、
体調や検査、薬の説明だけでも多くの時間が必要だからです。

そのため、

本来とても大切な「人生の話」が、
十分に整理されないまま進んでしまうことも少なくありません。

 

SDM(共同意思決定)という考え方

近年、「SDM(Shared Decision Making:共同意思決定)」
という考え方が重視されています。

SDMとは、医療者と患者さんが情報を共有し、
一緒に考えて決めていくプロセスです。

選択肢は一つではありません

透析を考える場面では、

・血液透析
・腹膜透析
・腎移植

といった選択肢があります。

しかし、

どれが正しいというわけではありません

その方の生活、価値観、背景によって、
選ぶべきものは変わります。

 

実際にはどう決まっていくのか

現場では、多くの方が次のような経過をたどります。

・最初は受け入れられない
・少しずつ現実として考え始める
・最終的に決断する

この流れは自然なものです。

 

医療者が考えていること

私たち医療者は、

「透析をさせること」が目的ではありません

大切にしたいことは、

その方がどのような人生を送りたいか

です。

そして、
その人生を支える手段の一つが透析です。

実際の診療では、
病状やリスクを踏まえて、
医療者として強くお勧めする場面もあります。

しかしその場合でも、
最終的にはご本人やご家族と一緒に考え、
納得できる形で決めていくことが大切だと考えています。

医療者は安全を重んじるため、制限や禁止が多くなりがちです。
しかし実際には、何ができるのか、
どのような楽しみを続けられるのか、という視点もとても大切です。
「そのご趣味であれば続けられますよ」といったお話も含めて、
SDMの中で一緒に考えていくことができればと思っています。

 

透析は「人生の終わり」ではありません

透析と聞くと、

・人生が終わる
・つらい

というイメージを持たれる方が多いと思います。

しかし実際には

透析をしながら生活を続けている方はたくさんおられます。

透析になっても、生活は続いていくのです。

(→ 透析になっても仕事は続けられる?働き方と実例を透析医が解説 )
(→ 透析患者さんこそ、旅行を楽しんでください ――透析医からお伝えしたい「旅行透析」の話――

 

決めるのは「あなた」です

透析をするかどうかは、

医療者が決めるものではありません
あなたとご家族が決めるものです

私たちは、

・情報をお伝えし
・選択肢を整理し
・一緒に考える

その役割を担っています。

一人で決めないでください

透析という問題は重く、
一人で抱えるには大きすぎるものです。

・ご家族
・医師
・介護スタッフ
・職場

と一緒に考えていくことが重要です。

ご家族も大切な存在です。

※ご家族の関わり方については、こちらの記事でも詳しくお話ししています
・ 腎臓病や透析の患者さんを、家族はどう支える?

・透析と介護は両立できる?家族の1週間スケジュール例を医師が解説 

・透析を受けている方は介護施設に入所できる?|ご家族が知っておきたい現実と対応

 

タイミングとしてのeGFR:20

eGFR:20という時期は、
まだ時間がある段階です。

だからこそ、
落ち着いて考えることができる最後のタイミング
でもあります。

(→ eGFR:20を切るとどうなる?|症状・治療・透析準備を専門医が解説

 

さらに進んだ段階について

腎臓のはたらきがさらに低下した場合については、
こちらの記事でも詳しくお話ししています。

eGFRが10になったら(準備と考え方)

腎臓病が進んだときに自分を責めないで

 

事例

高齢の男性の方でした。
長崎で一人暮らしをされていました。

腎機能は徐々に低下していましたが、
「透析は絶対にしない。このままでいい。」と繰り返しおっしゃっていました。

診察のたびにお話しを重ねましたが、
なかなか考えは変わりませんでした。

診療の中で、これだけお元気で自立されている方が、
本当にこのままでよいのだろうか、
透析を行えば、まだできることや楽しめることがあるのではないか、と感じていました。

ご本人はご家族への連絡にも消極的でしたが、
ご家族と一緒に考えることの大切さをお話しし、
ようやく了承をいただき、ご家族にご連絡することができました。

その後、ご家族が長崎に来られ、
ご本人としっかり話し合われました。

その結果、長崎で透析を開始し、
準備が整った後に、ご家族の住む地域へ転居して生活を続けることになりました。

透析を強く拒まれていた方でしたが、
導入後は穏やかに治療を受けられており、
透析については「仕方ないなあ」と、穏やかに笑ってお話しされるようになっていました。

表情も、以前より柔らかくなったように感じられました。

私はこの経験から、
ご本人だけでなく、ご家族と一緒に考えることの大切さを、改めて感じました。

 

最後に

透析をするかどうかという問題は、

「治療の選択」ではなく
「人生の選択」です

正解は一つではありません。

あなたが大切にしたいものに沿って、
選んでいくことが大切です。

私たちは、その過程を一緒に考えていきます。

 

【診療案内】

以下のような方は、一度ご相談ください。

・eGFRが低い(45未満など)と指摘された方、
 またはご自身で数値が気になっている方 
・たんぱく尿や血尿を指摘された方 
・透析が必要と言われたが、まだ迷っている方 

まずはご相談だけでも構いません。

→ 広瀬クリニックの診療案内

初めて受診を検討されている方はこちらをご覧ください
→ 初めての方へ

 

【参考記事】

透析を始めるときの流れ|入院・通院・不安について透析医の視点でお話しします

シャントはいつ作る? 血液透析を始める前に知っておいていただきたい時期の話

eGFRが10になったら|体の状態と透析の準備を始める時期について腎臓専門医が解説 | 広瀬クリニック

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