eGFRが1年で10下がったとき|低下スピードが速い方へ、専門医が解説
eGFRが1年で10程度低下している場合、
軽度な変動や単なる加齢変化だけでは説明しにくいことがあり、
慢性腎臓病の進行を確認したり、
必要があれば精密検査を受けたりすることが大切です。
健康診断や通院中の採血で、
「去年は54だったのに、今年は44になっている」
「以前よりかなり下がっている」
など、eGFRの低下を指摘されて、不安になったことはありませんか。
eGFRは年齢とともに少しずつ低下することがありますが、
「どれくらいのスピードで低下しているか」
も、とても大切です。
この記事では、
・eGFR低下の“速さ”について
・どのような場合に注意が必要か
・専門医として実際にみているポイント
についてお話しします。
eGFRは少しずつ変動します
eGFRは、腎臓病のない方でも、
脱水や体調などの影響で、
一時的に変動することがあります。
そのため、
1回の採血だけで、すべてが決まるわけではありません。
ただし、
以前と比べて大きく低下している場合
には注意が必要です。
「1年で10下がる」は一つの目安です
例えば、
・54 → 44
・54 → 39
・48 → 38
など、
1年程度でeGFRが10下がっている場合には、
単なる変動や、加齢変化だけでは説明しにくいことがあります。
もっと短い期間に、例えば
・6か月で10下がった
ということであれば、「1年で20下がるペース」とも言えますから、
同じように注意が必要です。
特に、
・糖尿病
・高血圧
・蛋白尿
などがある方では、腎臓病が進行している可能性もあります。
また、
以前の採血結果を振り返ってみると、
「実は数年前から少しずつ下がっていた」
「3年前と比較して15下がっている」
ことに気づく場合も少なくありません。
ただし、実際には、
「54→44だったけれど、再検査では52だった」
ということも珍しくありません。
eGFRは、
脱水や体調などの一時的な影響で変動することがあります。
そのため、
「44だからすぐ透析になる」
という話ではなく、
・本当に低下が続いているのか
・一時的な変化なのか
を確認するために、
まず再検査を行うことがとても大切です。
実際には、
「元に戻っていて、その後もしばらく下がらなかった」
という方も少なくないのです。
そのため、
必要以上に怖がりすぎず、
しかし放置せず、
数か月ごとに経過を確認していくことが大切になります。
症状がないことも多いです
腎臓病の難しいところは、
かなり低下するまで症状が出にくい
ことです。
そのため、
・普通に生活できている
・特に体調は悪くない
という状態でも、eGFRが低下していることがあります。
逆に言えば、
「症状がないから大丈夫」
とは言い切れない病気でもあります。
※慢性腎臓病がなぜ備えにくいのかについては、こちらの記事でもお話ししています
→ 慢性腎臓病はなぜ気づきにくい?
どのような場合に相談したほうがよいのか
eGFRの低下スピードが速い場合には、
・脱水など一時的な変化なのか
・実は症状はないのに慢性腎臓病が進行しているのか
・他の病気が隠れていないか
を確認することがとても大切です。
特に、
・以前より明らかに低下している
・蛋白尿がある
・糖尿病や高血圧がある
といった場合には、一度相談してみてもよいと思います。
実際に、腎臓専門医への紹介基準の中には、
「短期間で腎機能が大きく低下している場合」
(例えば、3か月程度で大きく低下している場合など)
が含まれています。
専門医として感じること
診療をしていると、
「去年も少し悪いと言われていました」
という方も少なくありません。
しかし、
症状がないために、なかなか現実感を持ちにくく、
「まだ大丈夫だろう」
と思っているうちに、徐々に進行してしまうことがあります。
一方で、
早い段階で気づき、
・薬剤による治療
・血圧
・糖尿病
・生活習慣
・脱水予防
などを見直すことで、
進行をゆるやかにできる方も多くおられます。
大切なのは、
「今すぐ透析になるのか」
だけではなく、
・今の状態を確認すること
・eGFRの変化を定期的に見ること
・これから数年をどう過ごしていくか
という視点です。
最後に
eGFRは、数字そのものだけでなく、
「どのくらいのスピードで変化しているか」
も重要です。
特に、
・1年で10程度低下している
・以前より明らかに下がっている
・蛋白尿がある
といった場合には、一度相談してみてもよいかもしれません。
eGFRの変化に気づけたことは、腎臓を守る上で、とても重要なことです。
必要以上に怖がりすぎず、
しかし放置せず、
eGFRの変化をみながら、経過を追っていくことが大切だと考えています。
【診療案内】
以下のような方は、一度ご相談ください。
・eGFRが以前より大きく低下している方
・eGFRが低い(45未満など)と指摘された方、
またはご自身で数値が気になっている方
・たんぱく尿や血尿を指摘された方
・透析が必要と言われたが、まだ迷っている方
まずはご相談だけでも構いません。
初めて受診を検討されている方はこちらをご覧ください
→ 初めての方へ
【まずeGFRについて知りたい方へ】
eGFRがいくつだと心配?|危険の目安と受診の考え方を専門医が解説
【eGFRごとの詳しい解説】
eGFR45未満と言われた方へ|数値の意味と次にすることを腎臓専門医が解説
eGFRが30を下回ったら|透析と言われる前に知っておきたいこと
eGFR:20を切るとどうなる?|症状・治療・透析準備を専門医が解説
eGFRが10になったら|体の状態と透析の準備を始める時期について腎臓専門医が解説
【進行を防ぐために】
腎臓を守るために自分でできる7つの習慣 ―― eGFRが低下している方へ、専門医が解説 ――
慢性腎臓病はなぜ気づきにくい?|症状が出にくく備えにくい理由を専門医が解説
【将来に備えて】
透析と言われたらどうすればいい? ――準備と考え方を腎臓内科医が説明 ――
透析をするかどうか迷ったときに|専門医と一緒に考える「これからの人生」(SDM)
【生活・人生について】
透析になっても人生は続く|透析医として患者さんに伝えたいこと
【よく読まれています】
腎臓病と透析についてまとめたページはこちら

医療法人陽蘭会 広瀬クリニック
廣瀬 弥幸
