eGFRが30を下回ったら|透析と言われる前に知っておきたいこと
血液検査で腎臓の数値(eGFR)が30を下回ったと言われたとき。
あるいは、言われなくても、ご自分で見つけたとき。
「急に悪くなったのではないか」
「これからどうしたらいいのか」
「誰も教えてくれなかった」
と、不安になる方がほとんどではないでしょうか。
ただ、この段階は「今すぐに何かが起きる」という状態ではありません。
まずは一度、深呼吸をして、落ち着いてください。
このあとにお話しする内容を参考に、
かかりつけ医の先生や腎臓専門医にご相談いただくことが最善ですし、その時間はあります。
【eGFR30を下回るとはどういう状態か】
eGFRの正常値は90以上です。
30を下回るということは、
腎臓のはたらきが3分の1以下になっている状態です。
ただ、この段階でも症状がない方がほとんどです。
そのため、「本当に自分のことなのか」と実感が持てないことも少なくありません。
長崎では「どうもなかよ」とおっしゃる方が多いです。
腎臓病の難しいところは、症状が出ないまま静かに進行していくことです。
eGFRが「20」を切ってくると、
むくみなど何らかの症状が出てくる方がおられますし、
「そろそろ透析の準備をしましょう」と言われる段階になります。
これが、腎臓病の怖さでもあります。
ここまでの内容を、eGFRの目安としてまとめると以下のように整理できます。
【腎機能の目安と対応】 数値が30を切ると「高度低下」に分類されます。この段階で専門医とつながっておくことが、将来の安心への第一歩です
【重要な2つのポイント】
同じeGFR30でも、今後の経過を考えるうえで大切なポイントが2つあります。
① 低下のスピード
これまでの血液検査の結果を見てみてください。
一般的に、40歳を過ぎるとeGFRは年に1くらい低下します。
しかし、それよりも速いスピードで低下している場合は注意が必要です。
例えば、半年で15低下している場合、年間では30低下している計算になります。
このような場合は、今後も同じようなスピードで進行する可能性があります。
逆に、低下がゆるやかな場合は、
治療を続けることで透析に至らずに長く経過する可能性もあります。
② 蛋白尿の有無
蛋白尿がある場合、腎臓の悪化は進みやすいとされています。
正常では尿蛋白は「―」ですが、
たんぱく尿が「+」や「++」などの結果があれば、要注意です。
医療機関では、尿蛋白の量を「1日◎g」のように正確に測定し、治療方針の参考にします。
【この段階でやるべきこと】
eGFRが30を下回った場合、腎臓専門医を受診することがとても大切です。
受診の際には、
- これまでの血液検査の結果
- 健康診断の結果
- これまでのご病気
- 現在飲んでいる薬
などを持参すると、診療がスムーズになります。
かかりつけ医の先生がおられる場合は、
紹介状を書いていただくと、より安心です。
また、さまざまな事情で紹介状がない場合でも、
腎臓専門医を受診すること自体は大切です。
実際には、誰にも相談できないまま一人で悩まれている方や、
迷いながら受診される方も少なくありません。
「このままでいいのか」と感じたときには、
遠慮せずに一度ご相談いただいて構いません。
腎臓専門医では、
- 腎機能低下の原因となっている病気の診断
- 現在の状態の評価
- 今後の治療方針の決定
が行われます。
また、可能であればご家族と一緒に受診されることをおすすめします。
同じ説明を一緒に聞くことで理解が深まり、安心にもつながります。
あらかじめ質問をまとめておくのもよいと思います。
私は、この段階の方は1か月に1回、最低でも2か月に1回は、
血液検査・尿検査などを行う必要があると考えています。
当院では、多くの場合、かかりつけ医の先生方と連携して、診療を行っています。
※ご家族としての関わり方に悩まれている方は、こちらの記事もご覧ください
【生活で気をつけること】
薬の治療と並行して、日常生活も大切になります。
- 処方された薬をきちんと内服する
- 塩分制限やたんぱく質制限などの食事管理
- 脱水を避ける
- 腎臓に負担のかかる薬を避ける
などが基本になります。
ただし、特に食事療法など、全てを完璧に行うことは難しいと、腎臓専門医である私も思います。
無理のない範囲で、極端なことを避け、長く続けていくことが大切です。
腎臓を守るために自分でできる7つの習慣について、こちらの記事でもご紹介しています。
【これからの見通し】
eGFRが30を下回ると、「透析になるのではないか」
と不安になる方も多いと思います。
確かに、その可能性はゼロではありません。
しかし、すべての方がすぐに透析になるわけではありません。
治療によって、腎機能が長く安定する方もおられます。
また、eGFRは年齢とともに自然に低下していくものでもあります。
治療をしていても、年間1程度の低下は起こり得ます。
そのため、1回ごとの検査結果に一喜一憂するのではなく、
半年・1年といった長い目で変化を見ていくことが大切です。
【さらに進行した場合】
eGFRが20を下回ってくると、透析について現実的に考える段階に入ってきます。
また、15未満になると腎不全と分類されます。
透析という言葉は、とても重く感じられると思います。
ただ、知らないことは不安を大きくします。
知らない道は長く感じますが、知っている道は短く感じるものです。
透析について少しずつ知っていくことも、将来に備える大切な一歩です。
※eGFRがさらに低下した場合に備えて、早めに情報を整理しておくことも大切です。
以下の記事もご参照ください。
→eGFR:20を切るとどうなる?
→eGFRが10になったら
慢性腎臓病では、
「まだ大丈夫かもしれない」
「考えたくない」
という気持ちが自然に生まれます。
透析について一緒に考えていくSDM(共同意思決定)については、
以下の記事でも詳しくお話ししています。
→ 透析をするかどうか迷ったときに|専門医と一緒に考える「これからの人生」(SDM)
【最後に】
eGFRが30を下回ったとき、状況は人それぞれです。
まだ腎臓専門医を受診されていない方は、ぜひ一度ご相談ください。
この段階は、腎臓専門医にかかる一つの大切なタイミングであり、
ここで早すぎるということは全くありません。ぜひ受診すべきです。
「もっと早く気づけばよかった」と自分を責める必要はありません。
これからの経過を安定させていくことが、何より大切です。
私たち腎臓内科医や医療スタッフは、皆さんと一緒に歩んでいく準備を整えています。
一人で抱え込まず、どうか一度ご相談ください。
【診療案内】
以下のような方は、一度ご相談ください。
・eGFRが低い(45未満など)と指摘された方、
またはご自身で数値が気になっている方
・たんぱく尿や血尿を指摘された方
・透析が必要と言われたが、まだ迷っている方
まずはご相談だけでも構いません。
→ 広瀬クリニックの診療案内
初めて受診を検討されている方はこちらをご覧ください
→ 初めての方へ
【参考記事】
eGFR:20を切るとどうなる?|症状・治療・透析準備を専門医が解説
eGFRが10になったら|体の状態と透析の準備を始める時期について腎臓専門医が解説
透析をするかどうか迷ったときに|専門医と一緒に考える「これからの人生」(SDM)
eGFRがいくつだと心配? 腎臓の数値を見て不安になった方へ(計算できます)
クレアチニンが高いと言われたら|数値の見方・eGFR・次にすることを腎臓専門医が解説
eGFRが1年で10下がったとき|低下スピードが速い方へ、専門医が解説
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こちらの記事でもお伝えしています。
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廣瀬 弥幸
