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シャントの診療のために新しいエコーを導入しました:神経もよく見えます

[2021.12.10]

 広瀬クリニックでは、血液透析に必要なシャントについて、エコーを使って検査や治療をしています。エコーによるシャントの管理に書きましたように、エコーは造影検査に比べて安全性が高く、手間が少なく、血液の流れる量等のいろいろな情報が得られます。そのため、広瀬クリニックのエコーは大活躍してくれていました。

【血管は見えますが、神経も見たい】

 一方、シャント手術の「痛み対策」でご説明したように、広瀬クリニックではエコーで神経を見ながら麻酔を行うようになりました。そうすると、素早く神経を見つけることができた方がいいですし、間違って針を神経に刺してしまうのは避けたいので、「神経がきれいに見えるエコーが必要」と思うようになりました。複数の新しいエコーを試してみて、いずれも性能はよかったのですが、私個人の見解では最も画質が高く、神経を識別しやすいと思うエコーを導入しました。もちろん、シャントや通常の血管もよく見えます。今回は新しいエコーについてご紹介いたします。

 

【エコーで見た腕の神経】

 神経は、いくつかの神経束が集まった構造になっています。個々の神経束の周りを囲む神経周膜があり、複数の神経束を神経上膜が取り囲んでいるため、エコーで神経を輪切りにするような方向で見ると、典型的には「ブドウの房状」に見えます。

 

 しかし、そのようには見えないこともよくあります。細い神経は、単に点があるように見えることが多いです。

 下に示すのは、私の上腕(腕の、肩に近い部分)にある正中神経について、血管を見る設定で見たところです。下に並べた同じ写真で、丸く囲んだところが正中神経です。

 一見して神経とはわかりにくいですし、その内部はブドウの房状には見えにくいと思います。

 次に示すのは、同じ正中神経について、神経が目立つような設定で見た場合の写真です。

 皆様に伝わるといいのですが、こちらではブドウの房状の構造がはっきりわかります。また、神経以外の構造物が黒っぽくなるように設定されているので、検査する場合には神経がとても探しやすいです。

【シャント手術前の神経の確認】

 手首の近くでシャント手術をする場合には、橈骨動脈と橈側皮静脈という血管をつなぐことが多いのですが、そのすぐ近くに橈骨神経浅枝という神経があります。近くにあるので、実際に手術の時によく見かける神経です。

 下は、私の橈骨神経浅枝を見たところです。

 わかりにくいので、拡大写真です。

 ブドウの房状になっているのがおわかりいただけますでしょうか。私にしてみれば、細い神経なのによくここまで見えるなあという感想です。手術の際、エコーで見ておかなくてもこの神経を傷つけることはほとんどありませんが、私は念のために事前にエコーで確認してこの神経を傷つけないようにしています。

【これまでわからなかった神経を発見できた事例】

 「この血管の近くに神経があるはずなんだけど・・・」と従来のエコーで一生懸命探しても、神経が見つからなかったことがありました。

 新しいエコーが使えるようになったので、血管を見る設定で探してみましたが、これでは神経を見つけることができません。

 しかし、同じ場所を神経を見る設定で探すことで、神経を発見することができました。

 この写真はかなり拡大しているのですが、このような細い神経であっても、「ブドウの房状」の構造が見えます。

※この部分は患者さんの許可を得て2021年12月18日に追記しています

【おわりに】

 エコーの活用によって、シャントの検査や治療はいろいろなことができるようになりました。シャント血管の中に注射をしながらレントゲン写真を撮る「造影検査」にも利点がありますので、両者を組み合わせて診療を行っていきます。

【参考資料】

超音波で探す末梢神経. MEDICAL VIEW社, 2015年

内シャントの狭窄に対する経皮的血管拡張術(PTA)について

エコーによるシャントの管理

シャント手術の「痛み対策」

エコー装置の写真:コニカミノルタ社より許可を得て掲載

 

医療法人陽蘭会 広瀬クリニック

廣瀬 弥幸

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