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第3回日本在宅医療連合学会学術集会:在宅医療についての国際生活機能分類(ICF)等を使った研究のシンポジウムと保険委員会のシンポジウムが行われました

[2021.12.03]

 日本の在宅医療の大きい学会として、日本在宅医療連合学会があります。日本在宅医療連合学会は、2019年5月に日本在宅医学会と日本在宅医療学会が統合するような形で作られた学会です。毎年学術集会が開かれていますが、2021年11月27-28日に行われた第3回の日本在宅医療連合学会学術集会において、在宅医療についての国際生活機能分類(ICF)等を使った研究のシンポジウムと、保険委員会のシンポジウムがありましたので、ここでご紹介いたします。

【在宅医療についてのシンポジウム】

 国際生活機能分類(ICF)に準じた「生活機能サマリ」について日本医療情報学会で発表しましたにも書きましたように、私は以前から国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health:ICF)について研究を行っています。在宅医療についての研究であるZaitaku Evaluative Initiatives and Outcome Study:ZEVIOUS研究でも、ICFについて評価するWHODAS2.0という質問票を取り入れていただきました。

今回の学術集会では、ZEVIOUS研究についてのシンポジウムが行われました。シンポジウムでは、共同研究者の次橋幸男先生から研究の概要と、すでに論文(在宅医療での「生活の質」や「ICFに基づく生活機能」などを評価した論文が公開されました)になっている内容を中心にご講演がありました。次橋先生のセッションの中で、私も生活機能の詳細についての検討結果を発表させていただきました。次に林伸宇先生より、在宅医療の質とアドバンスケアプランニング(人生会議ともいわれています)の関係性などについてご発表がありました。最後に研究を取り纏めている栗田宣明先生より、ZEVIOUS研究の体制づくりや在宅医療での臨床研究の在り方などについてご講演がありました。

 ZEVIOUS研究は多くの先生方のいろいろな知見やアイデアがうまくつながってできた研究であり、ICFの他にも様々な指標が含まれていて、大変興味深い結果が出ています。多くの方に研究にご協力いただいて得られた成果であり、東京、奈良、長崎の皆様に感謝申し上げます。

 私個人が興味のあるICFについては、これからは「生活機能」が「病気」と同じくらい重要ですでもご紹介しましたが、最近では医療や介護にとって「生活機能」は「病名」と同じくらい重要になってきていきます。広瀬クリニックでは透析医療を行っているので、いずれは透析患者さんの生活機能についても考えていくことができればと思っています。

【保険委員会のシンポジウム】

 在宅医療を含めた通常の診療は、そのほとんどが保険診療という支払いの仕組みで行われています。お金をいただけてこそ質の高い医療を実現できるという側面もありますので、日本在宅医療連合学会では保険委員会というところで在宅医療の保険診療について検討がなされており、私もメンバーに加えていただいています。

 今回の学術集会では保険委員会のシンポジウムが行われ、4人の先生方からご講演がありました。保険診療のルール自体が非常に複雑で、医療にも患者さんにもわかりにくいので簡素化した方がよいというお話もありました。一方、より精緻にというご意見もありましたし、医療と介護の連携を考えた上で制度的にお互いが補完しあえていない部分があるので、そこを改善してはどうかというご提案もありました。それ以外にも、多様な視点から様々な改善点が示されました。ずっと以前から作り上げられてきた全国一律のルールである保険診療という仕組みを、財政が厳しい中でどのようにしていくべきなのかは大変難しい問題だということを痛感しています。

 保険診療のルールは、2年に1度改定されます。次は来年4月が改定の時期になっています。日本在宅医療連合学会の保険委員会からも、学会員の皆様から募ったご意見を元に十数本の要望事項を出しており、現在は中央社会保険医療協議会(中医協)等で議論が行われているところです。中医協でも在宅医療は重要事項として取り上げられていますので、改定の行方が気になるところです。

【今後の展望】

 私個人としましては、今回、日本在宅医療連合学会の評議員を拝命しました。保険委員会での活動を通して在宅医療が少しでもよくなればと思います。また、今後も在宅医療自体や医療介護連携等に関わり、地域や医療介護連携がよくなっていくことに貢献したいと考えています。

【おわりに】

 今回の学術集会は、新型コロナウイルス感染症の影響のため、完全にWeb上で行われました。そのこともあって上記のシンポジウムは、大会参加費が必要ではありますが、2022年1月11日まではオンデマンド配信で閲覧することができるようになっています。ご興味のある方がおられましたら、ぜひ見ていただきたいと思います。

【参考資料等】

日本在宅医療連合学会ホームページ

https://www.jahcm.org/

第3回日本在宅医療連合学会ホームページ

https://procomu.jp/zaitakurengo2021/index.html

中央社会保険医療協議会

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo_128154.html

アドバンス・ケア・プランニング(ACP). 日本医師会

https://www.med.or.jp/doctor/rinri/i_rinri/006612.html

 

医療法人陽蘭会 広瀬クリニック

廣瀬 弥幸

プロフィール等

 

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