シャントの治療
血液透析では動脈と静脈を手術でつないだ「シャント」が必要になります。よいシャントがあることは、血液透析を受けていく上でとても大切なことです。
当院ではシャントについて以下のような診療を行っています。
【シャントの診察・検査】
シャントをつくる、あるいは治療をする場合には、問診、触診や視診等の診察の他、検査を行います。
造影剤を血管内に注射してレントゲン撮影をする「血管造影検査」では、シャントについて様々な情報が得られます。
一方で、稀に造影剤にアレルギーのある方もおられますし、造影剤の副作用で残っている腎臓の機能が低下してしまう可能性があります。そのため当院では、「エコー」による検査を積極的に行っています。
【シャントをつくる手術】
当院ではシャントをつくる手術である「内シャント造設術」を行っています。手術には、手術用の顕微鏡を使っています。
また、ご自分の血管でシャントをつくることができない場合では、人工血管を用いた「人工血管留置術」、動脈を血液透析に使用する「動脈表在化手術」、カテーテルから血液透析をできるようにする「長期留置カテーテル留置術」等も行っています。
【狭くなったシャントの治療】
シャントは一部分が狭くなってしまう(狭窄する)ことがあり、以下のような症状があらわれることがあります。
・透析の針がうまく入らない
・透析を行うために十分な血流が得られない
・透析の効率が悪くなる
・透析中に、透析装置が測定している「静脈圧」が高くなる
・透析の後に血が止まりにくい など
また、シャントの一部分が狭くなって、最終的に詰まってしまう(閉塞)と、血液透析ができなくなってしまうこともあります。
エコーや造影検査等で治療の必要な狭窄と判断された場合は、シャントの内側からバルーンで狭い部分を拡張させる治療である「経皮的血管拡張術:PTA」を行っています。この治療は患者さんの負担が比較的少なく、できるだけ痛みが少なくなるように行っています。また、繰り返し行うことができますし、日帰りで行うことが可能です。
PTAが困難な場合や、繰り返しPTAを行っても何度も狭くなってくるような場合等では、手術で治療することもあります。
【シャントが閉塞した場合の治療】
シャントが閉塞してしまった場合には、詰まっている血栓や閉塞の原因を取り除いて、血液透析ができるようにするために、PTAや手術等によって治療を行います。
【シャント瘤の治療】
シャントの動脈と静脈をつないだ部分や狭窄の前後、頻繁に針を刺す部分等に、血管が「こぶ」のように非常に大きくなる「シャント瘤」ができてしまうことがあります。どんどん大きくなって壁が薄くなると、血管が破れて出血する可能性があります。出血しなくても、大きくなって服等にひっかかったり、美容上の問題になったりすることもあります。
シャント瘤ができて手術が必要となった場合には、シャント瘤を取り除く手術をする場合があります。
※シャントの治療のため受診をご希望の場合は、必ず主治医の先生とご相談ください。