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どんな病気で透析が必要になる?:まだ透析と言われていない方へ

[2022.03.03]

※2026年5月に内容を見直しています。

透析が必要になる主な原因は、
糖尿病性腎症・腎硬化症・慢性糸球体腎炎です。
日本ではこの3つで多くを占めています。

 

 「腎臓とそのはたらき」でご紹介しましたように、腎臓には様々なはたらきがあり、「腎臓が寿命を決める」とも言われています。腎臓はかなりがんばる臓器ですので、少しはたらきが悪くなったくらいでは、ご自分でわかるような症状は出てきません。しかし、そのはたらきが通常の1/10くらいになってくると、体がむくんだり血圧が高くなったりするなど、様々な症状が出てきます(参考:腎臓病や腎臓が悪くなったときの症状)。これらの症状などが、お薬や食事療法などの治療をしてもコントロールできなくなってくると、透析や腎移植が必要になります。

 

 どなたでも透析は受けたくないと思いますが、2024年にやむなく継続的な透析を開始した方は、36,000人あまりおられました。それでは、どのような病気が原因となって継続的な透析などが必要になるのでしょうか?ここでは、透析に関する幅広いデータを集めて公表している日本透析医学会のデータから、透析を要する原因になる病気についてご説明したいと思います。

 

【透析を必要とする病気とその推移】

その年に継続的な透析を開始した患者さんの病気について、日本透析医学会の統計調査(1)のデータを以下にお示しします。

 

 多い方から、

・糖尿病性腎症

・腎硬化症

・慢性糸球体腎炎

・多発性嚢胞(のうほう)腎

・急速進行性糸球体腎炎

 などが、透析を必要とする原因となっています。

 1983年からの推移を見ますと、以前は慢性糸球体腎炎が最も多かったのですが、1998年以降は糖尿病性腎症が第一位となり、2019年からは慢性糸球体腎炎よりも腎硬化症の方が多くなっています。

 

【透析を必要とする3つの病気】

 それぞれの病気について、ごく簡単にご説明します。

①糖尿病性腎症

 糖尿病では、血糖が高くなります。糖尿病自体はあまり症状がありませんが、血糖が高い状態が長く続くと、腎臓に影響が出てきます。これを糖尿病性腎症といいます。典型的には、数年~10数年後より徐々にたんぱく尿が出てきますが、通常は自覚症状がありません。その後、15年~20年以上かけて透析を必要とする状況になっていきます。「きちんと糖尿病の治療をしないと、透析をすることになる」と聞いたことがある方もおられるのではないでしょうか。

②腎硬化症

 高血圧が年単位で長く続くことによって、腎臓の内部の構造が徐々に傷んでいくのが腎硬化症です。一般的には血尿はなく、たんぱく尿はあまり出ない、または少ないと言われています。ご自分でわかる特徴的な症状はないため、血液検査で腎臓のはたらきを調べたり、かなり腎臓が悪くなったりしないと気づきにくい病気です。

③慢性糸球体腎炎

 腎臓には糸球体(しきゅうたい)と言われる構造があり、片方の腎臓に100万個の糸球体があるとされています。毛細血管が糸の球のように丸くなっているため、このように呼ばれています。

(糸球体の構造)

 この糸球体に継続的な炎症があって、持続的にたんぱく尿や血尿が出ている状態のことを慢性糸球体腎炎といいます。慢性糸球体腎炎には、IgA腎症・膜性腎症・膜性増殖性糸球体腎炎など、いろいろな病気が含まれています。慢性糸球体腎炎にも特徴的な自覚症状はありません。

 

【透析を始める原因となった病気から考える対策】

 2024年のデータでは、糖尿病性腎症と腎硬化症が原因で透析を始めた方が53.7%を占めていました。

高血糖や高血圧の状態が長く続くと、腎臓に少しずつ負担がかかっていきます。

そのため、

・糖尿病や高血圧症をきちんと治療すること
・腎臓への影響が出ていないか、検尿や血液検査で確認すること

が重要になります。

慢性糸球体腎炎は、糖尿病や高血圧ほど多くの方に起きる病気ではありませんが、検尿で発見されることが多い病気です。
現在はさまざまな治療方法があり、早期に発見・治療することで進行を遅らせることができます。
そのため、症状がなくても、健診などで毎年検尿を行い、異常があればかかりつけ医、さらに必要があれば専門医にご相談されることをお勧めします。

 

【透析について強くご心配されている方へ】

腎機能が低下している方や、
透析について不安を感じている方へ向けて、
こちらの記事でも詳しくお話ししています。

まずは、
日常生活の中で気をつけられることについては、
こちらをご覧ください。

腎臓を守るために自分でできる7つの習慣

 

腎機能がさらに低下した場合については、
こちらの記事でも詳しく解説しています。

eGFRが30を下回ったら

eGFR:20を切るとどうなる?

eGFRが10になったら

 

透析について考える場面では、
「どのように生きていきたいか」という視点も大切になります。

SDM(共同意思決定)については、
以下の記事でも詳しくお話ししています。

透析をするかどうか迷ったときに|専門医と一緒に考える「これからの人生」(SDM)

 

また、腎臓病は自覚症状が乏しく、気づきにくい病気でもあります。
なぜ私たちは備えにくいのかについては、こちらの記事でもご紹介しています。

慢性腎臓病の難しさ ―― なぜ私たちは備えにくいのか ――

 

【おわりに】

 ここでは、透析開始の原因になる病気についてご説明しました。糖尿病性腎症・腎硬化症・慢性糸球体腎炎の3つで、2024年に透析を開始した原因の多くを占めます。糖尿病や高血圧症の治療や健診での早期発見によって、透析が必要になる可能性を減らすことができます。ここに書かせていただいた内容が、皆様のお役に立てば幸いです。

 

【診療案内】

以下のような方は、一度ご相談ください。

・eGFRが低い(45未満など)と指摘された方、

 またはご自身で数値が気になっている方 

・たんぱく尿や血尿を指摘された方 

・透析が必要と言われたが、まだ迷っている方 

まずはご相談だけでも構いません。

広瀬クリニックの診療案内

初めて受診を検討されている方はこちらをご覧ください
初めての方へ

 

 

【まず知っておきたいこと】

クレアチニンが高いと言われたら

eGFRがいくつだと心配?|危険の目安と受診の考え方を専門医が解説

腎臓を守るために自分でできる7つの習慣 ―― eGFRが低下している方へ、専門医が解説 ――

 

【eGFRごとの詳しい解説】

eGFR45未満と言われた方へ|数値の意味と次にすることを腎臓専門医が解説

eGFRが30を下回ったら|透析と言われる前に知っておきたいこと

eGFR:20を切るとどうなる?|症状・治療・透析準備を専門医が解説

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【透析が近いと言われた方へ】

透析と言われたらどうすればいい?  ――準備と考え方を腎臓内科医が説明 ――

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廣瀬 弥幸

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